健康・医学
ウォーキング
アメリカスポーツ医学会編の「運動処方の指針」によれば、ウォーキングに代表される 体力・心拍運動プログラムに自主的に参加したひとのドロップアウト率は最初の3か月間が最も多く、1年以内におよそ50%までに増加します。運動だけでなく、減量・禁煙・治療薬の服用も含め健康に関した活動を続ける人は1年の間に半数或いは半数以下となります。初期においてプログラムからドロップアウトするのはプログラムに対する不十分な理解、個人的に不都合な理由、家族の生活様式などを含む心理的社会的要素によると説明されています。
ウォーキング運動を習慣化ための実用的な指針には、
@ 中強度以下の適切な運動(たとえばウォーキング)を選択することにより運動による障害を少なくする。
A ウォーキング協会の例会に参加するなどグループで活動するプログラムを選択する。仲間のサポートは刺激になり、興味が薄れてきた時でも続けるようになります。
B 家族や友人のサポート。配偶者のウォーキングへの理解はウォーキング継続に関連します。
C プログラムにはレクリエーション性を持たせる。
D 定期的にトレーニングする。
E IVVウォーキングパスポートのように運動の達成を記録する。
F ウォーキングの距離や参加回数に従って表彰するIVVの表彰制度のように、運動の達成に応じて表彰状、ワッペン、ピンのような報酬を与える。とくに仲間が表彰されることは、意欲の原動力となります。年に一回の表彰式なども推奨される方法となります。
G 正しいウォーキングの知識を持った指導員に指導を受けてウォーキングの知識や能力を向上していけるようにする。
これらのことが推奨されているのですが、どうでしょうか。ウォーキングのサークルに入って例会に参加し、友達(歩友を私たちは呼んでいます)とともにウォーキングを楽しみ、時には川柳や、写真、写生なども楽しみそしてIVVの距離,回数の認定をIVVウォーキングパスポートに記録して、距離や回数がたまったらIVVの認定を受けワッペンやピンを集めて互いの記録をたたえ合う。まるで市民スポーツ連盟のウォーキングそのものではないでしょうか。
「天高く馬肥ゆる秋」とは、唐の詩人杜審言(としんげん)の詩の一節「雲清くして妖星落ち 秋高くして塞馬肥ゆ」に基づくといわれます。内容としては、『前漢の将軍趙充国が「秋になると、匈奴の馬が強く育ちその馬で攻めてくるから気をつけろ」と警戒の言を発した』ということです。しかし大本の中国でも現在は、「秋高気爽」(秋空が高く空気が爽やかで気持ちが良い)という4字熟語もあり、時代とともに意味は変わってきているようです。
ところで、午年の私は肥えないように何をすればよいのでしょうか。スポーツの秋とも言いますが、運動はどうでしょうか。気持ちよく運動したら,食欲が更新してかえって太ってしまわないでしょうか。健康成年男子14人を対象とした実験の報告があります。朝9時からトレッドミルを用いて時速7.0kmで60分間の早歩きをした時と安静座位をした時を比較しました。結果としては、60分間の早歩きをする、しないはその後の食欲を促進するホルモン濃度の上昇に違いをもたらさず、食事量にも違いを与えず、ウォーキングをすれば、エネルギーバランスはマイナスになるというものでした。
運動をする時間は1日のうちいつが良いのでしょうか。減量プログラムに参加した活動的な若くて肥満した女性の結果では、「午後よりも午前に運動した人の方が減量効果が明らかに大きかった。」と報告されています。朝の同じ時間に運動するのは、自分で調整しやすい、習慣化しやすい、また計画を立てやすいと考えられています。朝空腹状態で運動をすると脂肪代謝が促進されます。そして朝に運動すると睡眠のリズムを制御するメラトニンの分泌量も早めに増えて睡眠のリズムが整います。
皆で気持ちよく運動を楽しんだ後に会食をすると、気持ちの高揚効果もあり、思わず食べ過ぎてしまうのは私だけでしょうか。
アメリカ疾病対策センター(CDC)の助成によって実施され2017年に発表された研究は、1日最低30分程度のジョギングを週に5日行う人は座位中心の生活をする人よりも年齢換算で10歳近く細胞が若いというものでした。細胞の老化とは正常な細胞が分裂を停止し、炎症性分子を放出し始めた時に起きるプロセスで、テロメアの短縮、DNAの損傷、エピゲノム(遺伝情報の一部)の雑音などがその原因となります。
テロメアとは染色体の末端にある構造で細胞分裂を繰り返すたびに短くなります。テロメアが出生時の半分程度の長さになると細胞分裂ができなくなるために「細胞分裂時計」とも言われます。ところが、毎日適度の運動をする人はサーチュインと呼ばれる長寿遺伝子を介してテロメアが長い状態で保たれます。具体的な機序としては染色体の末端に6塩基(TTAGGG)からなる反復配列を追加して幹細胞、生殖細胞中のテロメア長を維持し、これにより細胞分裂のたびに累積する損傷を回避するのです。
メイヨ―クリニックの研究チームによれば、長寿遺伝子を一番多く活性化するのは高強度インターバルトレーニングなのだそうです。ほとんど会話ができないレベル、最大心拍数の70-85%の運動を20秒行い10秒休むことを4回繰り返します。この運動を2セット行うことが基本です。たった5分程の運動です。
ところで、運動をしてばかりいては体も細胞も疲れ果ててしまいます。テロメアを長持ちさせるためには毎日7時間の睡眠が推奨されます。高齢者でも7時間の良質な睡眠をとることにより、中年の人と同じかより長いテロメアを保持できるという研究結果もあります。
正しく運動し、よく睡眠をとって、長寿遺伝子の発現を増加させ、細胞を老化から守りましょう。
2024・7 『質が高く長い睡眠はよいスポーツの成果をもたらす』
大リーグ ロスアンゼルスドジャースで活躍中の大谷翔平選手はよく眠ると報道されています。日本のプロ野球で3度の三冠王に輝いた落合博満さんも現役時代はよく眠っていたそうです。
2022年の本欄でも7時間の睡眠をとっている50歳、60歳、70歳の中高年者は睡眠が5時間未満の人よりも複数の慢性疾患の発症が20%少ないことをご紹介しました。睡眠は精神的疲労・肉体的疲労の回復、そして記憶をつかさどる側頭葉海馬のリフレッシュに重要な役割を果たしています。そして、運動することにより眠るまでの時間が短縮し、質の高く長くて深い睡眠が導かれると分析されています。
睡眠と運動の関係はどうなっているのでしょうか。大学生のバスケットボール選手に対して5-7週間にわたり毎日少なくとも10時間の睡眠をとらせたMahらの研究では短距離走(282feet)のタイムやフリースロー、スリーポイントシュートの成功率が向上するとともに、単純反応時間や競技中の心身の状態が改善したと報告しています。大学生のテニス選手に1週間毎日少なくとも9時間の睡眠をとらせたところサーブの精度が向上したとSchwartzらも報告しています。運動と睡眠の相互の生理学的関係は複雑でまだまだ未解明の部分が多いのですが、大谷選手、落合選手の例を鑑みても、十分で良き睡眠はよい運動のパフォーマンスを導き出すのは確かなようです。みなさんもスポーツ大会の前1週間ほどは睡眠時間を増やしてみてはどうでしょうか。
・Mah CD et al.(2011) The effects of sleep extension athletic performance of collegiate basketball players. Sleep 34; 943-60
・Schwartz A et al. (2015) Sleep extension improves serving accuracy. A study with college varsity tennis players. Physiol Behav. 151; 541-4
オリンピアンの平均寿命が一般人よりも3年長いことは先月御説明しました。
では,世界で最も過酷といわれる自転車競技・ツールドフランスの選手の寿命はどうなのでしょうか。2011年にSanchis-Comarさんらが報告しています。
1930年から1964年にかけてのツールドフランスでは平均年齢27.3歳の選手が3週間で平均4537.7qを138.0時間で走りました。参加選手の68%にあたるフランスからの465名、イタリアからの196名、ベルギーからの173名について調査をし、3か国において1892年から1942年に生まれた一般人と各年齢における生存率を比較しました。全体の50%が生存したと推定される年齢はツールドフランス選手で81.5歳であり、一般人の73.5歳よりも11%も高齢でした。若いころから激しいトレーニングを行い、高い身体競技能力を維持する生活をつづけてきたツールドフランス選手は、引退後も運動を実践し活動的で健康的な生活習慣を維持したからではないかと考えられます。
20世紀末に施行された19.012名のオリンピアンの寿命調査では、座位安静がちな一般人に比べて平均で3年程寿命が長かったものの百寿者のレベルには遠く及ばないものでした。これらのオリンピアンの多くは1900-1904年生まれ、競技生活を引退した後も健康的な生活を送っていたものの80歳前後で亡くなっていたそうです。では19.000人のオリンピアンの寿命が平均3年延びたということはどういうことなのでしょうか。競技生活をやめた後も,体調管理をしたり、有酸素運動を続けたりした人の割合が多くその影響が出たと考えられています。また,ボストン大学の研究でも家族の中に百寿者がいる場合であっても遺伝的な影響は33-48%であり残りは環境的な要因と考えられました。
もともと運動習慣のあったアスリートですから、競技生活をやめた後も運動習慣などは継続されることが多く、一般人よりも良好な健康状態を保ち、やや寿命が長かったのはそのせいではないかとも推測されます。デンマークのコペンハーゲンで、20-80歳の1,000名のジョギング愛好者を12年間追跡調査するという研究がなされました。死亡率を下げるのには60-140分の軽いジョギングが必要であったが、この時間をさらに伸ばしても死亡率が減少するわけではなかったそうです。健康上のリスクが最も低く、代謝機能がより高まった状態にあるのは低~中等度(最大心拍数の55-70%)の有酸素性トレーニングを実施している人たちであり,1日の運動時間も100分も行えば十分すぎるほどであると考えられます。
アメリカ産婦人科学会によると、妊娠中は週に最低150分の中強度の有酸素運動(ウォーキング・水中歩行・水泳など)をすることが理想的であるとされています。中強度の運動とは、ウォーキングでは「歩きながら何とか会話ができるくらい」のペースです。週に150分ということは、平均すると1日あたり30分の運動を週5回行う計算になります。歩きなれていない人は、最初から一度に30分続けて歩かなくとも、10分間のウォーキングから始めて、10分間を1日に2回、そして3回と増やしていきましょう。
妊婦の方の運動は妊娠12週以降で、妊娠経過に異常がないことが条件となります。健診の時に産科の先生に相談してから始めると安心ですね。
子宮収縮が活発となる夜間帯はさけましょう。子宮収縮が最も少なく、早産の心配が比較的少なくなるため午前10時から午後2時までの時間帯に行うことをお勧めします。また、体温の上昇は胎児に影響するので真夏の炎天下は避けましょう。運動後は30分ほど休憩して心と体を休める。などのことも忘れないでください。
2016年にアメリカスポーツ医学会は世界中の168件の研究成果を検討して発表しました。子どもたちの日ごろの身体活動が、フィットネス、認知機能、学業成績と関連します。小学校での身体活動量を増やすことは、学業の成績向上を阻害するものではなく、認知能力や学業成績を高めると結論しています。子供時代にはしっかりと歩ける能力を向上させ、さまざまな動作の巧みさを獲得することが大切です。
1歳の誕生日に一升のお餅を背負わせて歩かせる慶事をご存知の方も多いと思いますが、こどもの発達は個人差が多く1歳半を過ぎて歩き始めるお子さんもいます。うちの男の子も1歳を軽く過ぎていましたが、大学では弱小ながら水泳部の主将を元気に務めました。
では子どもたちはどのくらい歩くのでしょうか。ある保育園で2歳から4歳の保育園児に万歩計を付けたところ1日約1万歩だったそうです。また,全国調査によれば,40年前には1日2万7千歩であった小学生の歩数は10年ほど前には1万歩にまで減ってきていました。
文部科学省の調査によると、外遊びの長い用事ほど運動能力が高い傾向にありますが、外遊びが1日1時間未満の用事も4割を超えています。子どもは6歳までに大人の8割程度までの神経機能が発達すると言われています。この時期は運動調整能力の向上が著しい時期です。
中京大学の中野貴博教授は「幼児期には1日1万3千歩を程度の活動量を目標としてほしい。」と言っています。
米国で1948年から5209名の男女を30年間追跡調査した研究があります。これはフラミンガム研究という有名な研究なのですが、30歳台から70歳台にかけて安静時心拍数はわずか数心拍ですが増加するのだそうです。1993年にはこの研究の続きがは発表されました。収縮期血圧が140mmHg以上あるいは拡張期血圧が90mmHg以上の高血圧で服薬していない男性2,037名,女性2,493名を対象とした36年間の追跡調査です。それによると安静時心拍数が65拍/分までの人達と85拍/分以上の人たちと比較すると36年間の死亡率が2倍以上に上昇するというものでした。
心不全の患者さんでは交感神経系という自律神経の緊張が亢進し、心拍数の上昇が引き起こされることも知られています。
2010年に報告された薬剤の治験では、β(ベータ)ブロッカーという心拍数や心筋収縮力を抑える薬を飲んでいても安静時心拍数が75拍/分以上という心不全の患者さんに対してイバブラジンという薬を投与して安静時心拍数50-60拍/分にまで下げると心不全による再発入院や死亡などのイベントが有意に低下したとされています。
これからの心不全治療は安静時心拍数を適正に低下させる方向にあるようです。では薬などを服用しないで安静時心拍数を適正に減少させる方法はないのでしょうか。宮下らは16週の有酸素トレーニングで中年女性の睡眠中の心拍数が平均して10拍近く減少したことを報告しています。適切な有酸素運動(ウォーキング)で心肺能力を整えることが健康で長生きするための王道になります。急がば回れですね。
最高心拍数という言葉があるのをご存知ですか。 [220−年齢] が簡易な方法として臨床分野で採用されています。では皆さんは自分で運動をして最高心拍数をご経験されたことがありますか。私は33歳の時にトレッドミルというベルトコンベアの上を走るような機械で体験しました。私の計算上の最高心拍数は上記の式から187/拍/分ということになります。通常の検査では目標心拍数は最高心拍数の70-85%%程度ですので、131-159/拍/分になりますが、その時は最高心拍数を体験しようということでやってみました。運動好きの私は150-160/拍/分までは快調に心拍数が上がっていきました。しかしながら180/拍/分をこしたくらいから心拍数がなかなか上がらなくなり息も切れてきました。184/拍/分くらいで息も絶え絶えであったことを覚えています。トレッドミルは3拍/分毎に傾斜が急になりスピードも速くなります。その切り替えの時の急な負荷増により何とか187/拍/分まで心拍数を上げることができました。それでもその日は半日ほど心拍数が120/拍/分でドキドキしていた記憶があります。大変でした。
さてご紹介した式によると年齢とともに最高心拍数が下がることになりますが、この式は正しいのでしょうか。Gellishらによる27〜78歳までの132名を最高17年間追跡したデータによる算出式は[206.9―0.67x年齢]でした。20歳では193/拍/分と少し低め、40歳では180/拍/分と簡便な式とほぼ同じ値、70歳では160/拍/分と簡便式より10/拍/分ほど高い数値でした。33歳の私の最高心拍数はGellishらの式によれは184.8/拍/分ですからほぼ最高心拍数から心拍数がなかなか上がらず苦労をしていたことになります。まいったまいったでした。
私の経験はさておき、40歳を過ぎるとGellish らの式による最高心拍数は簡便式によるものよりも10/拍/分ほど多くなりますから、心疾患のない人であればややおおめの心拍数まであがることが可能かもしれません。あくまでも無理をなさらずにお願いします
。
最近,乗用車を含めたCO2削減の様々な取り組みがなされています。ヨーロッパではイケアやアマゾンなどの配達に電動アシスト自転車を用いた配達車(カーゴバイク)さらには太陽光発電を備えたカーゴバイクの実証実験も始まっているとのことです。
しかしながら、2014年にIVVの総会出席のために訪れたハンブルグで見かけた市内観光バスは究極のエコバスでした。写真をよく見てください。市内観光バスの乗客はみな足漕ぎをしてバスを動かしています。ナイスでした。
2023・9 『日本市民スポーツ連盟は皆様のウォーキング記録を永遠にお預かりしています』
日本市民スポーツ連盟の目的は 記録や勝敗を競うことのない市民スポーツを振興し、参加する人たちの健康の増進と、参加者間の友情を通して世界平和の構築へ貢献することです。日本市民スポーツ連盟は国際市民スポーツ連盟(IVV)に加盟し、国内外の登録ウォーキング大会、加盟団体の例会、イヤーラウンドコースにおける皆様のウォーキングを世界中で共通のIVVウォーキングパスポートへの記録により応援しています。また,皆様から更に「通算 何キロ歩いたか」「これで 何回目のウオーキングイベント参加か」といった“歩行記録”の積み重ねの認定の申請をいただくと、日本市民スポーツ連盟のデータベースに登録するとともに回数あるいは距離の認定証を発行して認定いたします。
現在のデータベースは,1994年に更新されています。その中には1901年生まれの女性ウォーカーから10代のウォーカーまで2万人以上のIVVウォーカーの記録が保存されています。1901年生まれのウォーカーは数名おいでになりますが,ご存命ならば123歳になられることになり,とうぜんお亡くなりになっていることと思います。しかしながら日本市民スポーツ連盟はお亡くなりになった後も申請いただいたウォーキング記録の保管は続けております。日本市民スポーツ連盟という組織の続く限りお預かりしていく予定です。
2023年8-9月にウォーキング回数を申請された方は10回から9200回まで119人、累計ウォーキング距離の申請をされた方は100qから17万5千qまで111名です。これらのウォーカーはウオーキングライフに同梱されているIVVからのお知らせ上にも掲載させていただいていますが,日本市民スポーツ連盟の事務局には記録として保存されています。「古希」「米寿」あるいは「定年」など人生の折に触れ、ご申請いただければ記録の認定をいたします。
日本市民スポーツ連盟は皆様のウォーキング記録を永遠にお預かりしています。
「さあーっ、蹴ってもっと蹴ってもっとー。」
広いリハ室にK君の大きな声が響きます。掛け声をかけられてがんばっているMさんは心筋梗塞で救急搬送されて冠状動脈のカテーテル治療を受けた患者さんです。退院後に外来で心臓リハビリテーションを受けています。心臓リハビリテーションも3か月の期間を過ぎ、今日は有酸素運動能力を測る心配運動負荷試験と膝関節伸展筋力の測定を受けています。筋力測定に際してK君は大きな掛け声を出してMさんが力を籠められるように指導しています。筋力測定の時に掛け声をかけてあげるとより力が発揮できるというのです。火事場の馬鹿力ではありませんが、ヒトはとっさの時に普段以上のパワーを発揮することがあります。どうしてでしょう。筋肉のパワーは平常では心理的に抑えられていますが、掛け声をかけるといった行為によって心理的な抑制が取り払われ、ふだんの限界を超えたより大きなパワーを発揮できるのです。このようなパワーの発揮には中枢神経系が関与しているので掛け声には効果があるのです。
かけ声は自発的な発声でも効果があるとされます。剣道では,気合だけでなく、「めーん」や「こて」といった打撃部の呼称も打撃力が上がると報告されています。投擲においても発声が有効だとされています。テレビなどで大きな声をあげながら投擲をしているアスリートの姿を見たことのある人も少なくないのではと思います。小学生35名を対象とした握力,垂直飛び,遠投の検証では発声する母音としては「い」や「え」が運動機能に有効であったとされています。
記憶、注意,実行など高次脳機能をつかさどる前頭前野は運動能力の抑制もつかさどっていますが、前頭前野の活動は掛け声で抑制されます。小脳がつかさどる自動運動は掛け声により活性化されます。掛け声による最大筋力の上昇に気づいて報告したのは、1964年の東京オリンピック時代に活躍した運動生理学者の猪飼道夫氏です。
お年寄りが「よいしょ」などの掛け声を出しながら立ち上がったりするのも、前頭前野の働きを抑えている、あるいは小脳の働きを活性化して小脳の覚えている動作(この場合は 立ち上がり)を無意識に行うことによりスムーズに効率よく運動を行おうとしているのです。お年寄りが「よいしょ」「よいしょ」と掛け声をかけていても暖かく見守ってください。
2022年、Exercise Sports Science Review 誌に「エクササイズ・スナック」という耳慣れないtitleの論文が出ました。スナックとはみなさんご存知のように食事外のおやつです。スナックのように短くて終わる運動も健康に良いという内容でした。著者のIslam氏によると「短い時間のやや強い運動を、1日のうちで複数回行うこと」だそうです。具体的には、「抵抗のかかった自転車エルゴメータこぎを15-30秒間行う」「洗面所を使うときには上のフロアのトイレを使って階段を上がる」などで、1日3回以上行うことです。
近年、高強度インターバルトレーニンの効果がアスリートにおいて注目されていますが、一般の人においても呼吸循環系機能の効果が確認されています。アメリカ心臓病学会においても、1回2分の短い運動でも健康に良い影響があると議論されています。 本論文の要点は、1分間以内に終了するやや強度の高い運動を1日に数回行うことで、これまで運動習慣のなかった人に心臓・代謝系の健康効果をもたらす。短い時間で長く座位でいることの悪影響を改善する。身近な場所にある階段上りでも可能だということです。
高齢者においては、年齢に伴う筋力の低下とくに腸腰筋、大腿四頭筋の筋力の低下により胸椎が前向きに骨盤は後ろ向きに倒れ、頭は前のめりの姿勢、いわゆる「猫背」の状態になることがあります。顔を上げて視界を保とうとはしますが、ひざから下が持ち上がりにくいのですり足歩行になり、つまずいて転倒しやすくなります。
猫背の高齢者では猫背でない高齢者に比較して、肺活量や胸郭可動性、呼吸筋力が低下することが知られています。20歳代の男性に高齢者体験スーツを着用してもらって検査をすると、咳嗽時の最大呼気流量、胸郭拡張差、呼吸機能が有意に低下することも報告されています。 では猫背はどのように予防すればよいのでしょうか。ノルディック・ウォーキングという2本のポールをもって歩く運動は、姿勢の改善や体幹の強化に大変有効です。猫背を予防して元気に歩きましょう。
令和元年の厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」によれば,70歳以上の1日の平均歩数は男性で5010歩、女性で4225歩でした。では70歳を過ぎたら1日にどれだけの歩行習慣が必要なのでしょうか。
ウォーキング等の身体活動量は生活習慣病の予防だけではなく癌の予防にも寄与することも報告されています。男性では全がん死亡とくに結腸癌、肺癌による死亡、女性では全がん死亡とくに胃癌による死亡の低下に関連することが国立がんセンターの研究によってあきらかにされています。
高齢者で筋肉が減り、からだの機能が低下した状態をサルコペニアといいます。握力が低下しているか(男性26s未満、女性18s未満)、または歩く速度が低下していて(0.8m/秒以下)、検査で筋肉量が基準より減少していることが認められると、サルコペニアと診断されます。サルコペニアの人は活力や筋力、身体機能が低下し活動量が減り、食欲低下からさらに栄養低下を来すという悪循環を起こしやすくなります。高齢心疾患の男性患者さんの統計では1日の平均歩数が3500歩がサルコペニアのカットオフ値です。また,慢性心不全の患者さんでは身体活動量の高低が生命予後の指標の一つとなりますが、こちらは1日5000歩がカットオフ値です。早稲田大学よる65歳以上の4165人を対象とした研究によると,歩行による死亡リスクの改善は5000-7000歩で頭打ちになります.これらの結果などから公益財団法人長寿科学振興財団は65-74歳は7000歩,75歳以上は5000歩を1日の推奨歩行歩数としています。
2023・4 『4月29日は「第20回大正浪漫ウォークin手賀沼」が開催されます』
4月29日は「第20回大正浪漫ウォークin手賀沼」が開催されます。
春もたけなわの4月の下旬、ここ手賀沼ではうららかな天気に恵まれて気持ち良くウォーキングをすることができます。
会場から沼のほとりに出て右折し、反時計回りに「手賀沼ふれあいライン」の歩道から「手賀沼はくちょう通り」に出ます。「柏ふるさと公園」からは手賀沼に沿った「自然ふれあい緑道」に入り、見晴らしの良い道をゆったりと歩きます。ランナーや自転車に乗った人とすれ違いながらいくと、パンフレットの写真では沼を泳いでいるはずの白鳥も暖かい陽気に誘われて岸に上がりまったりとして迎えてくれます。
手賀沼が手賀川となるあたりで32qのウォーカーと別れて橋をわたり進んでいくと、沼の中にはたのしげな河童が4匹いてわれわれを迎えてくれます。「手賀沼親水広場」には河童の良く見える展望スペースもあるので、ぜひ足を止めてみてください。
河童たちに見送られて再び歩き出すとコースは大正時代に志賀直哉、武者小路実篤らの住んでいた街並みに入ります。ゴールの手賀沼公園はすぐそこです。
晴れた日のウォーキングは大変気持ちの良いものですが、雨の日には傘をさして歩いたこともありました。小雨の中を歩いて何とかゴールについたと思ったら、我孫子駅に着くまでにずぶぬれになり、駅のトイレでシャツを着替えてから電車に乗って帰ったこともありました。大正浪漫ウォークin手賀沼の思い出の中で、この日のことは決して忘れられない1日として記憶の中に鮮明に残っています。
大正浪漫ウォークin手賀沼は、晴れの日にも雨の日にも忘れられない思い出を残してくれる素晴らしいウォーキングです。みなさんもこの1日を大切に歩きませんか。私は今年も歩かせていただきます。
川内会長の報告と一緒に参加された平野さんの平野寅次郎YR散歩(番外編)を掲載しました。アメリカで初めて開催されたIVVオリンピアド大会の報告です。
くわしくはこちら(PDF)をご覧ください。
いつまでも元気に暮らしていくためには、高齢者こそ機会を求めて歩く必要があります。地域密接型の急性期病院である新潟県新潟南病院の報告では、高齢者の入院の2大原因は誤嚥性肺炎と心不全です。そして高齢心不全患者の79.3%が80歳以上です。新潟南病院に入院した80歳以上の心不全患者さんの転帰は、院内医死亡が31.5%、重度介護のための施設移送が15.8%、52.7%は在宅退院をすることができました。しかしながら在宅退院をされた患者さんのうち8割の方は要介護状態での自宅退院です。リハビリテーションのおかげで、退院後に見守り程度のケアで暮らせる自立した生活に戻れた患者さんは在宅退院の2割、心不全で入院した80歳台の患者さんの約1割にしかなりませんでした。これらの1割の人はどんな患者さんなのでしょうか。リハビリテーションにより10mの歩行速度が0.83m/秒から1.01m/秒に改善し、日常生活を享受し、セルフケアが可能となった人たちです。walking能力が回復することができた患者さんたちなのです。
2013年から英国で行われた7万8500人の調査では1日10000歩程度までは毎日の歩数が2000歩程度増えるごとに、死亡率が減少し、心臓血管系の病気やがんの死亡率が8-11%低減したていました。
私たちが屋内だけで生活すると1日に2000歩程度しか歩きません。1日に15分か20分散歩するだけで効果があるのです。コンビニエンスストアや家の周りの散歩だけでも違います。毎日少しずつでも歩きましょう。
2023・1 『高齢者が健康で長生きするために市民スポーツ連盟ができること』
あけましておめでとうございます。
健康で長生きをするには歩くことが大切なのは皆さんご存知だと思います。
心不全では最大酸素摂取量が14ml/kg/min未満だと余命が少ないことが知られていますが、有酸素能力は歩行能力と密接な関係があります。そのため有酸素歩行能力(>1m/min)が余命と関連することも知られています。また、高齢者が心不全で入院して廃用状態になったときにも、廃用状態から回復して自立できる状態で退院できる可能性も入院前の有酸素歩行能力で推定できます。高齢者が健康に長生きするためには、歩き続けることが肝要です。
市民スポーツ連盟はwalkerが健康に長生きするためにどんなお手伝いができるのでしょうか。高齢者が歩き続ける機会を提供することだと考えています。市民スポーツ連盟の歩行距離は大会でも例会でも10qが原則です。若いときには毎日20q-30q歩けても,年を重ねることにより、心肺機能も低下し,足腰に支障が来るwalkerも少なくないことと思います。私たちはこれまで高齢者や歩行に障害のある人も広く参加できるように5qの大会、例会の設定を可能としてきました。それでもなお、「5qを歩くのも大変になった。」という声も耳にします。国際市民スポーツ連盟・日本市民スポーツ連盟は昨年来working groupを作成して検討し,高齢者等のために、5qより短い距離のwalkingを設定できるように市民スポーツ連盟参加国に提案をはじめました。日本市民スポーツ連盟も高齢walkerや歩行に使用のあるwalkerのためにより短い距離での大会、例会の設定を可能とすることにします。2023年は、まず4km、3qの大会、例会、イヤーラウンドRコースの開設を可能としたいと思います。さらに短い距離のwalkingの設定については2024年以降どのようにすれば可能か考えていきたいと思います。提案のある加盟団体、イヤーラウンド(R)ステーション管理者、大会主催者の方は,提案内容についてmailあるいは文書にてご相談くださるようお願いいたします。
2022・10 『睡眠負債を避けるために7時間眠りましょう』
7時間の睡眠をとっている50歳、60歳、70歳の中高年者は、睡眠が5時間未満の人よりも、複数の慢性疾患の発症が20%も少ないと、2022年10月日付のオンライン科学情報誌PLOS ONEで報告されています。研究は英国の公務員7864人を対象として1985年に開始され25年以上継続されているWhitehall II cohort Studyの結果を分析しています。また、60歳、70歳の人で睡眠時間が9時間を超える人も複数の慢性疾患にかかりやすいと報告されました。調査対象となった慢性疾患は,糖尿病、がん、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、慢性閉そく性肺疾患、慢性腎臓病、肝臓疾患、抑うつ症、認知症、精神疾患、パーキンソン症、関節炎/リュウマチ性関節炎の13疾患です。
ペシルバニア大学の研究では、6時間睡眠を14日続けると48時間徹夜したのと同程度の認知機能にまで低下すると報告されています。どうしても睡眠不足になってしまったときは、30分程度の仮眠を昼間に取ると効果的です。それでも回復は十分とは言えません。
睡眠は7時間とるように心がけましょう。
参考文献
1) Severine Sabia , Aline Dugravot, Damien Leger, Celine Ben Hassen, Mika Kivimaki,, Archana Singh-Manoux. Association of sleep duration at age 50, 60, and 70 years with risk of multimorbidity in the UK: 25-year follow-up of the Whitehall II cohort study.
PLOS ONE October 18, 2022 https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1004109
2025年の国際市民スポーツ連盟オリンピアドはフィンランドのムーミン谷で開催されます。
8月23日に国際市民スポーツ連盟総会がドイツ南部のケール市で開催されました。 総会では、2025年8月の国際市民スポーツ連盟オリンピアード大会がフィンランドのタンペレで開催されることが決まりました。タンペレの人口は36万人、ヘルシンキに次いで第2番目の町です。ヘルシンキからのアクセスは鉄道で約1時間半くらいです。夏季は夜22時くらいまで外が明るいので観光をフルに楽しむことができます。
タンペレにはムーミン谷博物館があり、ムーミン関連作品が展示されています。タンペレは自然に囲まれた町で、2つの大学と2つの工科大学もあり、学生たちもオリンピアードの運営に携わる予定です。タンペレは2つの湖に挟まれた街です。Walking、サイクリング、水泳だけでなく、5qのカヌーもオリンピアド種目に含まれることになりました。また、タンペレでぜひ味わいたいのがブラックソーセージ。マーケットやレストランなどで必ず売られているタンペレ名物です。
タンペレ大聖堂は、1907年に建てられた、アールヌーヴォーの影響を受けたフィンランド国民ロマン主義建築を代表する教会です。2千人をも収容する広い教会内では、マグヌス・エンッケルによって描かれた大きな祭壇画や、フーゴ・シンベルグの「傷ついた天使」や「死の庭」といった有名な作品を見ることが出来ます。教会を囲む石壁には6の出入り口があり石造りの門が作られています。教会は1923年から大聖堂として使われるようになり、現在は挙式会場やコンサート会場としても人気があります。静かな落ち着いた雰囲気を味わえます。
2022年8月24日から26日まで、ドイツ南部のケール市で第6回国際市民スポーツ連盟ヨーロッパ大会(IVV−Europiade)が開催されました。Europiadeは国境近くの街で開催されることになっています。ケール市はフランスのストラスブールとライン川をはさんで接しており、歩行者専用の橋で行き来することができます。
24日は各国国旗をもった子供たちと会場までのパレードです。ストラスブールのおじさんバンドが先導してくれました。私も日の丸の旗をもって参加です
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25日は快 25日は快晴でした。22qのコースは自然に恵まれたコースで楽しいコースでした。道沿いの広場には美味しいリンゴの木も植えられていて、脱水気味のwalkerたちは名目1個2個と食べていました。昔懐かしい少し酸っぱい味のリンゴでした。
26日は小雨でしたがケールから歩行者専用橋をわたってストラスブールの街を歩いてきました。
「頭痛肩こり樋口一葉」井上ひさしの戯作の題名です。樋口一葉が頭痛に悩んでいたことは彼女の日記にも書かれていますが、弟子である疋田達子によれば、肩こりも「ひどく肩が凝り、文鎮できびしく打っても感じないほど」であったそうです。弱冠20歳前後で一家3人の生活を文筆業で支えた樋口一葉はさぞ肩がこったと想像にかたくありませんが、そもそも私たちはいつごろから「肩がこる」ようになったのでしょうか。
時代劇で按摩が肩をもんでいることからもわかるように、江戸時代には肩がこる人がいたようですが、当時は「肩が張る」と表現したそうです。立川昭二北里大学名誉教授によれば、日本人の多くが肩こりを訴えだしたのは明治も後半になってからだそうです。そして、「肩がこる」という表現が文学作品に現れるのは夏目漱石が明治43年に発表した「門」が初めてだそうです。「指で押してみると、頸と肩の継ぎ目の少し背中へ寄った局部が、石の様に凝っていた。」当時の流行作家である夏目漱石が用いたこともあり、「肩こり」という言葉が一般に使われるようになりました。
「肩こり」の本体は、首と肩関節の動きを支える僧帽筋の炎症による「頚肩腕症候群」という病気です。樋口一葉のように同じ姿勢で長時間机に向かって仕事をしている、眼精疲労や運動不足、ストレスによる緊張、寒さによる肩の筋肉の緊張などが原因となります。肩こりの予防には、入浴により血行を良くして組織の治癒反応を活性化するなどして肩や首の筋肉の緊張や痛みをときほぐすことなどが有効です。
一方で肩こりは、四十肩・五十肩、頚椎症、高血圧、狭心症・心筋梗塞、片頭痛、解離性大動脈解離、脳出血、脳梗塞等々の病気の症状であることもあります。手のしびれや麻痺を伴っている場合、徐々に症状がひどくなる場合等には、専門の医師を受診することが肝要だと思います。
みなさんはウォーキングやジョギングなどを始めるときに、『「ややきつい」レベルの運動』という言葉を耳にしたことのある人も多いと思います。「ややきつい」という運動強度の概念を提唱したのはスウェーデンのGunnar A.V. Borg(1927-2020)教授です。Borg教授の専門は心理学、とくに外的な刺激と内的な感覚の対応関係を測定しようとする「精神物理学」という分野でした。Borg教授は主観的運動強度(Rate of Perceived Exertion:RPE)、現在はボルグスケールとして知られる運動強度の主観的判定法を考案しました。運動の強さを、「非常に楽である、かなり楽である、楽である、ややきつい、きつい、かなりきつい、非常にきつい」という7段階の主観的な強度に分けたのです。その後、主観的に「楽である〜ややきつい」と感じる範囲に有酸素運動の適正運動強度が合致することが、世界中の多くの運動生理学者の研究により判明しました。
息切れや筋肉の倦怠感など、全体的に知覚される運動を測定するためのBorg RPE scale(R)は、世界中の非常に多くの国で何百万人もの人々によって使用されています。すべての人のためのスポーツと、運動強度を監視するさまざまなプログラムに従ったアスリートのトレーニング、治療やリハビリテーションでも幅広く使用されています。
宮下充正現日本市民スポーツ連盟名誉会長と小野寺孝一氏は1976年に、ボルグ教授の論文をもとにトレーニングにおける適正運動負荷強度を定めました。最大酸素摂取量の40-60%の運動強度、嫌気性代謝閾値(Anaerobic Threshold)という有酸素運動の運動負荷強度がボルグスケールの「楽である〜ややきつい」に合致することを検証したのです。そしてRate of Perceived Exertionを「主観的運動強度」と命名しました。Borg教授の論文では「Extremely light、Very light、Light、Somewhat hard、hard、very hard、Extremely hard] でしたが、日本に導入するにあたって[light]は「楽である」、[hard]は「きつい」と訳したのです。運動生理学会、体力医学会をはじめとした運動にかかわる学会では爾来「きつい」という言葉が使われてきました。みなさんが、「ややきつい」運動強度という言葉をご存じなのもそのためです。健常者は筋力や持久力を向上させるために”きつい“運動に挑戦しなければ、成果が得られないと思い運動に挑戦します。言い換えれば、”つらい“とは思わず、”きつい“と感じる強度の運動を自分の意志で選択、遂行しています。ですから、「ややきつい」なのだといわれます。
2011年にシドニー大学の研究者チームが、世界20カ国の成人を対象に、1日何時間ぐらい座っているかを調査しました。その結果、最も長時間座っているのは日本人だということが分かりました。その長さは1日7時間。平均が5時間ほどだそうですから、日本人はかなり座り好きの民族といえるかもしれません。確かに私たちは小学生の頃から、机に向かってじっと座っていることをよしとして育てられました。それでも、日本人は通勤通学に公共交通機関を利用し歩くことが多いので、1日としてはそれなりの歩行をしていましたが、コロナ禍でテレワークが多くなり自宅で働く時間が多くなると運動不足が生じました。
「座る時間が1日に11時間以上の人は、4時間未満の人より死亡リスクが約40%高くなる」。こんな医学の研究結果が2012年にオーストラリアで発表されました。調査をしたのは、シドニー大学のネヴィル・オーウェン博士らのチーム。国内の45歳以上の男女22万人を対象に3年間近く追跡調査をし、この間に死亡した人の生活スタイルを調べたところ、座る時間と死亡率が大きく関係していると報告しました。その原因は「代謝機能」と「血流」にあるそうです。ふだん立ったり歩いたりしているときは、下肢を中心として代謝も血流も盛んになります。しかし、動かずにじっと座っていると代謝が低下し、生活習慣病につながります。さらに、長時間座り続けると、下肢の血流も低下しますし、膝上の部分で下肢の静脈が圧迫されて血流が滞り、血栓が形成されたりします。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や糖尿病などの病気のリスクが高まり、死亡率を押し上げるのです。
同じ年に、オーストラリアのクイーンズランド大学で行われた調査では、「1時間座るごとに寿命が22分縮まる」という衝撃的な結果も報告されました。このような研究結果を受けて、オーストラリアは官民一体となった"座りすぎ防止キャンペーン"を実施。「オーストラリア人よ、立ち上がれ」を合い言葉に、職場で1日2時間以上立って過ごすことを奨励したそうです。
私たちも、1日2回最低15分は歩くようにしましょう。
弁天湯はマンションの1階に入っている。秋葉原方面から歩いてくると、ビルがならんでいるだけなので同側の歩道からは見分けにくいが、近くまで行くと、表にのぼり旗が出ていて、入り口に小さな祠があり弁天様が祭ってあります。
Aコース(10km)
A コースは日暮里方面に向かうコース。弁天湯を出て左方向に進み、清洲橋通りにぶつかったら右折して北上する。2kmほどの入谷の交差点を左折して言問い通りに入ってすぐの左側が7月に朝顔市がたつ『おそれ入谷の鬼子母神』だ。鶯谷駅前を右折して根岸小前から左折し尾久橋通りに入る。西日暮里2丁目を左折して日暮里駅北側の渡で駅の反対側に渡り、創立100年とおばあさんが言っていた佃煮屋さんで煮豆を買う。
佃煮屋さんの前をまっすぐ行くと階段坂「夕やけだんだん」がある。坂の下は「谷中ぎんざ」商店街へと続く。夕やけだんだんからの景色を眺めたら少し戻って横道を朝倉彫塑館方向へ向かう。この辺りは昔ながらの風情を見せる道が上野桜木を経て東京芸術大学方面へ続いている。
東京芸術大学の隣の東京国立博物館ではポンペイ展が企画開催されていた。入場制限期間中にもかかわらずちょうど入ることができたので、寄り道をすることにした。ポンペイ展を堪能してからwalking再開。上野公園をぬけて、中央通りを南下する。須田町の交差点を左折して、靖国通りから清洲橋通り入り弁天湯に戻ってきました。
弁天湯では、スタンプ押印だけなら200円だが、もう280円足すとお風呂に入れる。ジェットバスに使ってゆっくりと温まってから、帰途に就きました。
Bコース(10km)
Bコースは箕輪に向かって北上するコース。柳橋から北上していくと道は少しずつ隅田川に寄っていく。駒形橋のところで隅田川岸のリバーウォークに降りてしまった。川岸の道なので寒いかと思っていたら、当日は風もなく太陽が背中からさして暖かく、歩いているうちに隅田川越しにスカイツリーが大きく迫ってきました。
隅田川の上にX型にかかる桜橋のあたりで川岸から上がり北上する。あとは白髭橋から西に進めばじきに三ノ輪である。三ノ輪からは弁天湯に向かって南下する。途中横道を入ったところに樋口一葉記念館があったので、寄り道をしました。私は、樋口一葉について「貧困に苦労しながら小説を書いた女性」というイメージしか持っていませんでしたが、なかなか素晴らしい人だと分かることができました。本郷菊坂の後、台東区竜泉に住んだことがあるので台東区に記念館があります。樋口一葉が有名になったのは、森鴎外、幸田露伴、斎藤緑雨の3人が雑誌の鼎談で、「女性と言って侮ってはいけない、時代の麒麟児たる小説家である。」と激賞したからだという。うら若い無名の女性の小説をきちんと読んで激賞する。この3人は懐の広い人だったのでしょう。さて、寄り道から戻って歩くとかっぱ橋道具街である。食器のならんでいる店、刃物のならんでいる店、看板のならんでいる店などがあって面白いが、のんびり眺めていると先に進めない。
蔵前橋通りまでついたら、弁天湯はもうすぐである。暖かいお風呂が待っている。
2022・3 『DB walking 北コース(柴又七福神めぐり)』
JR総武線新小岩駅から商店街を抜けて歩いていくと10分ほどのところにあるウォーキング ステーションは永年DBウォーキングを主催してこられた中野さんのお宅である。ステーションを出てから少しして蔵前通りを渡り上小岩親水緑道にはいると閑静な住宅街なので商店街のざわめきも聞こえなない。小岩三中を過ぎたところの八幡宮の鳥居の脇に北原白秋の歌碑があるのだが、八幡宮のお堂が塀越しには見えても裏からは入れず、なかなか鳥居にたどりつけなかった。神道に裏口はないのはもちろんわかるのだが、境内への裏口のカギは開けておいていただきたかった。
八幡宮のあたりから、江戸時代からの歴史のある親水さくらかいどう、さらに古くからの下町を思わせる入り組んだ道を通りながら七福神を探していく。 医王寺(恵比寿)、宝生院(大黒天)の次は北総鉄道の新柴又駅から京成高砂駅、観蔵寺(寿老人)までいったら、布袋尊を探しながら柴又駅まで戻ってくる。
柴又駅前にある渥美清さんの寅さん倍賞千恵子さんのさくらの銅像もすごくよかったけれども、私はその先にあった漫画の登場人物のような寅さんの人形のほうに親しみが持てました。 弁財天、毘沙門天、福禄寿を探しながら、帝釈天へと行く。
木造のお店のならぶ仲見世は昭和初期以前の参道や下町の雰囲気をよく醸し出している。帝釈天も大きなお寺ではあるが、境内はけばけばしさが無く、庶民的な雰囲気である。帝釈天の境内を出て寅さん記念館も通り抜けると、江戸川土手に出られる。仲見世や帝釈天の雰囲気に浸った後に眺める江戸川の流れは、江戸から続く悠久の時の流れを語りかけてくるような気がしました。
6. 大塚ブロック:千川から上る大塚ブロックは長くて急な坂の集まりなのだが、小石川植物園脇の62番網干坂はとりわけ急である。
千石3丁目から千石1丁目方向に上がる67番猫又坂には江戸時代に千川にかかる橋があり、夜な夜な狸(猫ではなく)が赤手拭いをかぶって踊るとの話があったとの由。
護国寺前の69番富士見坂を上ると、次の70番の開運坂は坂上に道場を構えた加納治五郎が名付けたといわれる。
7. 小石川ブロック:富坂からはじまり春日通りの両側に坂が連なる。72番牛坂の上には1184年源頼朝が創建したという丑天神北野神社がある。
伝通院に向けて上る76番善光寺坂上には椋の老木があり、400年の歴史のある澤蔵司稲荷の魂が宿るとされる。学生時代(40年少し前)の記憶では勢いのある大木であったが、年老いて樹勢が少なくなったためか、倒れないように支えがされていた。
8. 小日向ブロック:神田川から茗荷谷の駅に向かって急な坂が続く。階段坂もあり細くて急であるが幸いなことに短い。85番庚申坂、86番切支丹坂、87番藤坂、88番釈迦坂、89番蛙坂など江戸時代からの土地柄からついた珍しい名前の坂がならんでいる。このあたりの路上には名所案内の目印があってわかりやすい。
9. 目白台ブロック:江戸川橋から神田川沿いに伸びる公園から目白台に向かっても階段坂である胸突坂など急坂が連なっている。目白台の頂上は旧山形有朋邸すなわち椿山荘だ。104番胸突き坂の上は和敬塾。105番の幽霊坂を上ると旧細川家下屋敷があり、現在は肥後細川家が700年かけて収集した古文書や歴史資料・文化財を展示する永青文庫となっている。106番豊坂を上ると60数年前に私も通った日本女子大学付属豊明幼稚園。111番清戸坂を下り、護国寺脇の112番小篠坂、113番希望の坂を上れば、文京113坂も完登である。
最後にさんぽみち研究所で9回分のウォーキング印を押してもらい、日本市民スポーツ連盟事務局まで6kmを歩けば、はじめて歩いた人もIVV(国際市民スポーツ連盟)のwalker登録が可能です。ぜひ試してください。
2022・1 『文京113坂(上)』
江戸城の北側で、荒川に至る台地の裾野が北から届いているので文京区には坂が多い。その文京区にあって名前の付いた113の坂をスマホのGPSを頼りにめぐる「文京113坂」というアプリをさんぽみち研究所が開発して無料で公開している。スマホに搭載して起動すると113の坂が地図上に現れる。坂を選んでのぼるとリストに「済」のハンコが登録される。今回、私も挑戦してみた。長年通った文京区であるが、知らない坂も多かった。歩いているうちに、次の坂の上り口はどこにあるのか、どうやってたどりつくのか考えるのが楽しくなった。
1.湯島ブロック:神田明神、湯島天神、妻恋神社と高名な神社の多い湯島地区は地下鉄御茶ノ水駅側の1番 相生坂、2番 昌平坂、3番 湯島坂からはじまる。2年に1度の神田明神祭では、外神田方面から湯島坂の神田明神参道口に向かって宮入りを待つ町内神輿の列ができる。順番を待ちながら、昌平坂に面した湯島聖堂外壁のお便所には皆で大変お世話になった覚えがある。
2.水道橋ブロック:御茶ノ水駅より西側の水道橋ブロックは、東京ドームを望む26番新壱岐坂が有名ではあるが、わずか30段ばかりの27番新坂など小さいが味のある坂の多いブロックだ。
3.本郷ブロック:新旧の東富阪に始まる本郷ブロックは、樋口一葉が住んだ菊坂がある。友人のアパートや飲み屋が多かったので私も学生時代にはよく歩いた覚えがある。
33番炭団坂の急階段を53段上がったあたりはその昔坪内逍遥や正岡子規も住んだところである。子規はここで、「ガラス戸の外面に夜の森見えて清けき月に鳴くほととぎす」という句を詠んだとか。
4.白山ブロック:白山通り方面からと学者町として知られた西片町に向かって短いが急な坂が何本も並んでいて階段坂もある。坂を上って東京大学農学部の正門をくぐった左側には、飼い主の上野先生にとびつくハチ公の銅像がある。可愛らしいのでぜひ立ち寄ってください。農学部の横を下るのが51番弥生坂で弥生式土器の発見された場所だそうである。
5.駒込ブロック:根津から千駄木にかけては新婚時代を思いだしながら歩いた。蛇道と呼ばれる路地には「根津の甚八」などの居酒屋が多く、友人や妻と通った覚えがある。千駄木の56番団子坂を上がると森鴎外の旧居跡に、森鴎外記念館がたっている。ちょうど「森鴎外の写真」の展示をしていました。医学部標本室に全身骨格標本となって鎮座されている小金井良精解剖学教授の生前の御写真を拝見することができました。
2021・11 『43:ミトコンドリアと有酸素運動能力』
有酸素運動は、循環器疾患予防だけでなく、健康回復、認知症予防にいたるまで、心身ともに健康な老後を送るにはなくてはならない健康法と広く認識されています。有酸素運動は肺で取り込まれた酸素が、心臓から拍出される血液により筋肉細胞に送られ、糖代謝により酸素が消費されてできたエネルギーにより筋肉が収縮することです。ミトコンドリアは細胞内における呼吸エネルギー代謝の中心となる細胞内小器官であり、細胞内でエネルギーとして利用されるATPの大部分を産生しています。
私が循環器外科の道を歩み始めた1980年代後半には、有酸素運動能力を詳細に測定して心不全による廃用状態からの回復に活用しようという動きが活発になってきていました。ところが心臓だけ心不全から回復しても有酸素運動能力は改善しないことも経験されました。
僧帽弁狭窄症の患者さんに当時の最新治療であるカテーテルによる治療を行い、心拍出量が正常化したにもかかわらず、翌週施行したエルゴメータによる心肺運動負荷試験では有酸素運動能力が改善しませんでした。東京大学で心臓弁置換術を試行した患者さんでも同様の経験がされました。手術後1か月の時点での心肺運動負荷検査では手術前と同じ酸素摂取量しか観察されず、有酸素運動能力の改善には、3か月近い期間が必要でした。医師達は自分たちの治療の正当性がどうして証明されないのか首をひねってしまいました。
その後の運動生理学分野の研究により、有酸素運動は、骨格筋において毛細血管を新生させて血流量をふやすだけでなく、ミトコンドリアをも新生させてその酸化酵素活性の上昇により、糖代謝でエネルギーとなるATPを多数産生し、顕著な有酸素運動能力の向上をもたらすことがわかってきました。
Yanたち(2012)は、持久性トレーニングとミトコンドリアについてのこれまでの論文を総括しました。持久性トレーニングはミトコンドリアの質と量を高めるというものでした。持久性トレーニングはミトコンドリアの数を増やすとともに、そのネットワークの機能や効率を改善させます。ミトコンドリアのネットワークの改善は、ミトコンドリアの発生と機能不全となったり、損傷したりしたミトコンドリアの除去によって始まります。また、ミトコンドリアはATPの酸素を使っての産生に不可欠であるばかりではなく、カルシウムイオンの平衡能や筋細胞の酸化・還元状態に影響します。
しかし、酸化ストレスや加齢によってミトコンドリアは他の細胞内小器官と同じように損傷しやすく、破壊されやすい。ですから、ミトコンドリアを制御するということは、ミトコンドリアの発生から、損傷したり、機能不全となったりしたミトコンドリアの除去までにわたっています。
このように、骨格筋のミトコンドリアの量と質を高める持久性トレーニングのはたらきは、古い不健康なミトコンドリアを新しい健康なミトコンドリアに置き換えるダイナミックな過程であり、俗な言い方をすれば、「古い自動車の代わりに、環境を汚染しない燃費効率の高い新車を購入するようなものである。」とYanたち(2012)は述べています。
2021・10 『ミステリアスシィ 東松山の3つの謎』
2021年11月、「3年間待ちに待った東松山市日本スリーデ―マーチが開催されます。そこで今日は東松山3つの謎を紹介したいと思います。
第1の謎、東松山には何故東がつくのか。
東松山市の周辺の地図どこを見ても、西松山市がありません。ちなみに、台湾の台北市には松山空港がありますが、台湾にも西松山市はありません。ではなぜ“東”松山市なのでしょうか。松山市民の皆さんはご存知のことと思います。1954年に松山町・大岡村・唐子村・高坂村が合併して東松山市が成立したときに、四国にはすでに「松山市」がありました。そこで、松山町は東松山市を名乗ったそうです。
第2の謎、東松山市では 何故1年に2回牡丹の花が咲くのか。
牡丹は、ボタン科ボタン属の落葉低木です。春から梅雨の時期にかけて、バラのように美しく大きな花を咲かせます。ボリュームたっぷりのあでやかな花姿は、1輪あるだけで気品と風格を漂わせていますよね。そのゴージャスな花姿から、「風格」という花言葉をもつようになり、原産国の中国では「花神」「花王」という別名で呼ばれることもあります。東松山では春と秋に2回牡丹の花が咲きます。何故でしょうか。秋の牡丹の花は夏の間花の芽を冷凍室で保存するのだそうです。
第3の謎、ピオニメーツはなぜ美しいか。
東松山市長がどこに行くにも連れていく2人のピオニメーツ。牡丹の花のようにゴージャスでかつ愛らしい美人ですね。東松山市のお嬢さんだそうですが、美人になるには何か秘訣があるのでしょうか。これは大ミステリーですね。市長さんに聞いてみましょう。
2021・10 『外に出て歩きましょう』
緊急事態宣言も終了し、街にも人の数が増えてきました。私たち高齢者も家を出て身体を動かし、ウォーキングを楽しみましょう。
久しぶりにウォーキングをする前にはまずゆっくりと体をほぐして深呼吸をしましょう。
米国心臓病学会は指導者がついていない環境で運動を始めるとき注意すべき8つの項目を挙げています。
1. 気分が良いときのみ運動する
2. 食後すぐに激しい運動をしない
3. 天候に合わせて運動する
4. 適切な服装と靴を着用する
5. 自分の限界を把握する
6. 適切な運動を選択する
7. 自覚症状に注意する
8. ゆっくりと開始して徐々に進めていく
1.気分が良ければ身体に全くないとは言い切れませんが、身体の調子が良く、休養も十分とれているときは気分が良いものです。まずは、気分の良いときに運動を始めるようにしましょう。発熱や気分不快などの症状があった時には、症状が消えてから2日以上待ってから運動を始めましょう。
2.胃腸、肝臓、すい臓、脾臓などの腹腔内臓器には心拍出量のおよそ30%の血液が供給されています。そして、食事をとった直後は、食物を消化吸収するために胃腸への血液が急速に増加します。食後すぐに激しい運動をすると、胃腸と筋肉両方へ十分に血液を供給することができません。そのためにこむら返りを起こしたりします。胃や腸にたくさんの食餌がはいったまま運動をすると、気持ちが悪くなったり嘔吐したりすることもあります。食後は一休みしてから運動をしましょう。
3 厳寒の朝にウォーミングアップもそこそこに急に激しい運動をすると狭心症どや心筋梗塞を起こすことがあります。暑い時には熱中症や脱水によるけいれんも起こしえます。天候に会った運動の仕方を考えましょう。
4.運動をするときの服装も天候に合わせましょう。夏は直射日光による熱中症にならにように帽子をかぶり薄手の服装にします。冬は暖かさを保てる服装にします。靴はジョギングやウォーキングでは走りやすいあるいは歩きやすい靴を履くなど運動にあった靴を選びましょう。
5.病気のある人はどの程度まで安全に運動できるか主治医と相談しましょう。病気の見つかっていない人や病気のない人でも、年齢や体力に応じた運動の限度をかかりつけ医と相談しながら運動を進めましょう。
6.運動習慣の少ない人は有酸素運動から始めましょう。高齢者では筋力の低下が運動を制限する因子となることも多いのでレジスタンス運動も軽い負荷から加えていきましょう。
7.運動中や運動後の身体の痛みや疲労感、不快感や痛みなどをよく確認しましょう。運動中に呼吸困難を感じるときや、痛みや疲労が改善しないとき、不眠が生じるときは医師に相談しましょう。
8.急に激しい運動を始めると、関節や筋肉などの運動器に障害を起こすことがあります。運動を繰り返すに従い、筋力や有酸素運動能力、関節や筋肉の柔軟性も改善します。運動は1日の中でも、運動プログラムの中でも軽い負荷から始めて進めていくことが事故防止に肝要です。
みなさんは運動をしていなかった期間に病気をしたり、体調を崩していませんでしたか。思い当たる人はかかりつけの医師に「運動を始めてよいか」相談をしてください。
2021・10 『御会式 桜』
毎年十月十三日は、弘安五年(1282)に、武州池上の本門寺で入寂した日蓮上人忌日の御会式で、またこれを法花会式とも御命講とも日蓮忌ともいわれます。この会式の催される時分にちょうど花の咲くサクラがあって、通常これは御会式桜と呼ばれます。
このサクラの本名は十月ザクラという。すなわち彼岸ザクラ(東京の人のいうヒガンザクラは『大和本草』にあるウバザクラで、一つにウバヒガンと呼ばれまたアヅマヒガンともエドヒガンとも称えられるものである)この十月ザクラは絶えて野生はないのだが、国内諸所に植わっており、何も珍種と称するほどのものではない。秋季に一番よく花が咲き、そして冬を越して春になってもまた花が咲くのだが、しかし秋よりは樹上に花の数が少ない。その花は小さくて淡紅色で普通には半八重咲だが、また一重咲のものもある。そして秋の花には往々多少は枝に葉をともなっている。
参考文献:牧野富太郎.植物一日一題
写真は新宿御苑の御会式桜。
2021・4 『○○老いなき世界』
ハーバード大学医学大学院教授であるデヴィッドA. シンクレアは著書「老いなき世界」の中で老化はなぜ起こるかを自身の20年間の研究の総括として以下のように結論付けている。
「老化とは情報の喪失である」。
人間の体内の情報とは、DNAを構成する塩基の配列によるデジタル情報であるゲノムと、DNAの2重らせんがどのように3次元の立体として構成されているかというアナログ情報であるエピゲノムからなる。
ゲノムとは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンの4つの塩基の配列によりDNAの2重らせんに記録されたデジタル情報であり、アデニンとチミン、グアニンとシトシンが必ず対をなすことで、40億年もの昔から遺伝情報を正確に保存・複製することができてきた。
エピゲノムとは親から子へと受け継がれる特徴のうちDNAの文字配列そのものがかかわっていないものを指している。DNAの長い鎖は、数珠のように並んだヒストンという球状のタンパク1個当たりに2回ずつまきついている。その巻き付き方の強弱により、遺伝子のスイッチのon-offがきまる。ヒストンへの巻き付き方が強いとDNAの読み取りは始まらない。巻き付きの弱い場所ではDNAの読み取りが始まる。読み取りのはじまる場所が移動することで同じ配列のDNAでも異なる指令が出せる。このように、DNAの巻き付き方、折りたたまれ方が長いDNAの鎖を細胞核内に収納する仕組みでもあり、遺伝子を管理する情報でもある。
ヒトの新生児はたった一個の受精卵からはじまるが、生まれてきたときには260億以上の多種多様な細胞から構成されている。ヒトの細胞のDNA情報は基本的にはすべて同じなのに、ヒトの細胞は皮膚や脳神経、消化管や筋肉、骨などきわめて多くの種類の細胞に分化している。細胞の分化をつかさどる遺伝の情報は「エビゲノム」と呼ばれ、DNAの文字配列によらない遺伝の仕組みは「エビジェネティクス」と呼ばれている。
さて、老化のメカニズムをシンクレア教授は、以下のようにモデル化した。
若さによる生体の活動はDNA読み取り違いにより遺伝子情報の損傷をおこす。DNAの損傷は修復もなされるが、DNAの損傷と修復の過程はゲノムの不安定化をもたらし、さらにはアナログ遺伝子情報であるエピゲノムの機能障害を引き起こす。その結果として細胞内の機能喪失を生じ、細胞の老化が進み、人体の老化が進行し、細胞全体の死すなわち人の死亡が起こるというのである。
遺伝子研究の発展により老化を治療するサーチュイン遺伝子が発見され、同定もされている。サーチュイン遺伝子を働きやすくさせる薬剤や遺伝子の作用機序もわかり始めている。動物実験ではマウス寿命が延びたことが確認されており、人間では未実証だが、シンクレア教授は、かなり近い将来、老化の治療が可能になると宣言している。
それでは長生きをするための生活方法や薬はあるのでしょうか。次回シンクレア教授の提言をご紹介したいと思います。
参考文献:「ライフ・スパン 老いなき世界」デビット・A・シンクレア/マーシュ・D・ラプラント著 梶山あゆみ訳 東洋経済新聞社
2021・3 『100歳を超えて生きることができますか』
織田信長は「人間五十年、下天のうちを比べれば夢幻の如くなり」という敦盛の一節を好み、本能寺で落命したのは48歳であったというが、安土桃山時代の平均寿命は30歳代、江戸時代の平均寿命は32-44歳と推定されている。昭和から平成・令和と世界に冠たる平均寿命を誇っている日本人ではあるが、その平均寿命が確実に40歳を超えたのは大正時代に入ってからであり、50歳を超えたのは実に第二次世界大戦後のことである。
徳川家康は75歳まで生きたことも知られているし、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎は90歳まで生きたことがわかっている。平均寿命が短かったのは若年のうちに死亡する人が多かったからであるが、平安時代でも記録から判明する20歳以上になった貴族の死亡年齢は平均60歳、鎌倉時代の死亡年齢の判明している人の死亡年齢も平均60歳であった。その結果として、鎌倉時代の御家人の引退年齢は70歳、江戸時代でも、幕臣の老衰引退は70歳以上とされていたために、江戸城には70歳を超える役人が50人以上いたとされている。
生きているヒトの数は50歳をこえると急激に減少し始める。19世紀の英国の数学者ゴンバーツによれば、50歳を超えると加齢によって死亡する人の数は8年毎に倍増するために、100歳を超える余地は極めて少ないとした。21世紀の現在でも状況はあまり変わっていない。先進国で暮らすのであれば80歳まで生きることは期待できても、100歳まで達するのは100人のうち3人であり、115歳になるのは1億人にひとりといわれている。
ではヒトは何歳まで生きられるのだろうか。デビッド・A・シンクレアハーバード大学医学大学院教授は、老化は病気の一つであり、今後の研究を踏まえて努力を続ければ、多くの人が100歳を超えて生きていくことも可能になると言っている。
2020年、世界最高齢の日本人女性は117歳の田中カ子(カネ)さん であり、男性の最高齢は110歳。100歳以上の88.2%が女性である。
1日1Km歩くと考えるより、1日1km歩いて1日健康な日を長くする、という気持ちでウォーキングを楽しみましょう。
2020・11 『20年後(2040年)の健康な老後に向けて』
私の勤務する小金井リハビリテーション病院はJR中央線武蔵小金井駅が最寄りの駅です。医療圏としては北多摩南部というエリアで、都心に通勤する住民やその家族が多く居住する住宅地です。東京都地域医療構想アドバイザーである一橋大学経済学研究科の高久玲音、高橋雅生氏の分析によれば、北多摩南部地域では、2030年以降には高齢化が加速し、90歳以上人口が増加、死亡者数も増加します。2040年には入院患者数も現在よりは増加します。入院患者の41%以上が80歳以上となり、要介護認定者数は56%増加、とくに要介護4、5認定の高齢者が増加します。呼吸器疾患、骨折および外因、循環器疾患の増加率が高くなると見込まれています。この傾向は私たちの居住する地域だけの特徴ではなく、東京都の医療圏全般に当てはまります。
現在66歳の20年後には私は86歳です。私たちの世代はまさにこの医療予想の真っただ中です。座して待つだけであれば、呼吸器、循環器疾患、あるいは転倒による骨折などで入院し要介護4あるいは5の認定を受ける患者への道が待っているのです。
ではどうすればよいのでしょうか。呼吸循環機能を必要とする有酸素運動つまりはwalkingを習慣的に行う必要があります。年々低下していく呼吸循環機能をなるべく高く(なるべく低くならないように)維持しなければなりません。肺が酸素を取り込み、心臓が血液に乗せて酸素と栄養を送り出しても、筋肉が酸素と栄養を利用して運動をしなければ酸素摂取は増加しません。60歳を過ぎると筋肉は毎年1-2%減少していきます。良くwalkingしさらに良質なたんぱく質を摂取して良好な筋肉を保持しなくてはいけません。
Coronaの感染が危惧される今日この頃ですが、天気の良い日には密集を避けて外出し、家族や友人とあるいは一人でwalkingを楽しんでください。それには全国各地にあり365日楽しめる常設のwalkingコースであるイヤーラウンドコース(http://ivv-jva.com/walkingstations.html)がお役に立ちます。
ぜひ3蜜をさけてwalkingを楽しみましょう。
2020・11 『那珂湊駅イヤーラウンドコース』
2020年10月17日ひたちなか鉄道の那珂湊駅がyear round courseを開設しました。駅から近い。江戸末期の反射溶鉱炉など水戸藩ゆかりの見どころがある。港のおさかな市場には美味しいものがある。と3拍子揃っています。私はコース途中の「願入寺」で御喜捨をさせていただいたうえで、高さ3.5m重さ22.7トンの大鐘を突かせていただきました。おりからの小雨の中に染み渡る良い音色でした。
2020・8 『熱中症予防には冷えたペットボトルを持ちましょう』
今年も8月に入り猛暑が続いています。最高気温が40℃以上の日が各地で続いています。脱水に気を付け、体温に気を付け熱射病にならないように気をつけましょう。
米国Stanford大学のCraig Heller教授は、熱中症の治療に効果的な特殊な冷却手袋を発明しました。野球のグラブのような大きさの手袋ですが、この手袋に手を入れて軽い陰圧をかけると、手のひらの動脈と静脈をつなげている動静脈吻合と呼ばれる細い血管が拡張します。拡張した血管に流れる血液を手のひらを通して低水で冷やすことで、頸部、腋窩、そけい部を冷却するというこれまでの方法より効果的に下げることができるというものです。実際には40℃の部屋でトレッドミル歩行を行い、食堂温が39.2℃になったら@安静にする。A頸部、腋窩、そけいぶを冷却する。B冷却手袋で手のひらを冷却する。の3通りの方法を比較しました。安静での体温降下は10分間で0.04℃、頸部等の冷却では0.17℃、手のひら冷却手袋だと0.30℃という結果を報告しています。
では、冷却手袋のない私たちは実際にはどうすればよいのでしょうか。NHKの番組で私たちにもできる効果的な方法を考案・紹介してくれました。自動販売機のペットボトル(5℃)がすこしあたたまったくらい(15℃)のものを持って歩くと15分くらい冷却効果が続くということです。また、ペットボトルを持って歩くと、上半身の運動をしながら歩く効果もあります。冷えたペットボトルを持って歩きながら残暑を乗り切りましょう。
2020・5 『イヤーラウンドコースを歩きましょう』
新型コロナウイルスはいまだ終息したとはいえませんが、ウォーキング大会の中止をはじめとした多くの組織の協力や医療関係者の献身的努力により爆発的な感染拡大にはいたってはいません。県や地方自治体によっては各種の自粛要請の緩和も始まってきています。それでも、外出を控えて自宅にこもっていると、気持ちもふさいできたりします。さらに高齢者では、長期間と体を動かさないでいると、体力が落ちてその回復が困難なことがあります。
このような時こそウォーキングです。ひさしぶりに歩くときは、いつもよりゆっくりとしたスピードで歩きましょう。息切れのしないスピードで十分です。最初は10-15分くらいから始めてみましょう。疲れたり息が切れたりしなければ30分くらいに時間をのばしていきます。疲れがたまらないように、歩いた翌日は休むことにしましょう。慣れてきたら週に3回から5回歩くようにします。
家庭の用事や仕事、子育てなどで週末あるいは1週間に1回しか歩けない人は、少しずつ歩く時間をのばして2-3時間歩けるようにしてください。
体が慣れてきたら、地元にあるイヤーラウンドコースを歩きましょう。公共交通機関を使用して移動する際は混雑のない時間を選び、家族や友人と少人数でソーシャルディスタンスをとりながら歩きましょう。
2020・4 『家の中でもできるレジスタンストレーニング』
COVID-19 による外出禁止要請のために、食料品など生活必需品の買い出し以外には家から出られず、精神的にも身体的にも運動不足によるストレスが溜まっているのではないかと思います。とくに60歳を過ぎて高齢になればなるほど、半月や一か月の運動不足から筋力が低下してしまい、その後の体力回復に苦労される方も多いことと思います。海外ではベランダでフルマラソンの距離を走ったなどという人たちもいるようですが、我が家のベランダもそれほど大きくありません。ではどうすればよいのでしょうか。
2000年以来、 アメリカ心臓病学会は、 有酸素運動だけでなく、筋力強化(レジスタンスエクササイズ)も心血管疾患の患者に処方することを推奨しています。抵抗運動の代表的な効果は、筋肉の強化効果だけでなく、高齢者の転倒防止にもあります。さらに、最大酸素摂取量を増加させ、特に基礎代謝を活性化します。
家の中でもできるノルディックポールを用いたレジスタンストレーニングをご紹介しましょう。ノルディックポールを用いることで立位の姿勢が安定します。さらにポールにより体幹や足腰の負荷が軽減されて無理のないトレーニングができます。ノルディックポールをお持ちでない人は、柱や壁に手をついて身体を安定させることで代用してください。
最初は1日1セットから始めてください。楽に行えるようになったら、1回1セットを1日に2-3回繰り返すようにしましょう。
まずノルディックポールを体の前方、肩幅より少し広くついて体を安定させて行います。
1)かかと上げ
ふくらはぎの筋肉に力を入れてゆっくりと母指球の上に体重を移してつま先立ちをします。1セット10回。かかとを上げる動作下げる動作は急がずに,慣れてきたらかかとを上げたところで5秒程度止めてからおろします。
2)つま先上げ
下腿前面の筋肉,前脛骨筋に力を入れてかかとでたち,つま先の上がったところで一度静止します。お尻を後ろに突き出したり,膝が伸びきったりしないように気を付けましょう。1セット10回です。
3)もも挙げ
まっすぐ立った姿勢でももを上げます。インナーマッスル(腸腰筋)の強化です。左右10回ずつ、スピードが速くならないように、ていねいに上げましょう。慣れない人は楽な高さで、慣れている人は膝が直角になるまで上げましょう。
4)ゆっくりスクワット
スクワットは、体幹、骨盤、大腿、下腿のすべての筋肉を鍛えることのできる運動です。足を肩幅に開きつま先を10時と2時の方向に開きます。ポールをつま先より前方、体幹から20p程はなしてつきます。 腕を伸ばしてポールを外側に開きます。 お尻を後方に突き出してバランスをとりながら、膝を曲げて体幹を沈めます。体を上下する際につま先立ちにならないように気を付けます。最初は4-6回、慣れてきたら1セット10回。
5)脚荷重トレーニング
低い段を、ポールを使って上り降り。高さ設定の最初は10pくらいから始めるのが良いでしょう。同じ足で続けて上ると疲れやすいので、左右交互に片脚10回ずつ行います。
2019・10 『週末ウォーカーの運動効果について』
2018年、米国心臓協会年次集会で発表された最新版の身体活動ガイドラインでは、米国では早期死亡の原因の10%を運動不足が占めているとされました。忙しい仕事をされている皆さんは、週末にしか運動をする時間が得られず、1週間に3-5回の運動の機会を持つことはできないかもしれません。週末だけの運動でも健康に貢献するのでしょうか。
今回の改訂では、1週間に行うべき推奨運動量の変更はありませんでした。これまでと同じく、150-300分の中等度の有酸素運動あるいは、高度の有酸素運動75-150分を行うことが最も有効であると推奨されています。運動は週に3日以上に分けて行うことが良いのですが、1週間あたり1-2日にまとめて行っても同様の効果が得られるともされました。
平日に忙しい人は、週末に1-2日、10qあるいは20qのwalkingあるいはテニスなどをすることでも、運動の効果としては良好であると考えられます。
一般成人は、有酸素運動以外にもレジスタンス(筋力)トレーニングを1週間に2日以上加えることも推奨されました。週末しか時間のない人も、ゴミ出しや重すぎない(腰を痛めない程度)荷物の移動などの家事仕事をしましょう。
Piercy KL et al. JAMA, 2018 Nov 12
2019・8 『手のひらを冷やして熱中症対策』
米国Stanford大学のCraig Heller教授は、熱中症の治療に効果的な冷却手袋を発明しました。この手袋に手を入れて軽い陰圧をかけると、手のひらの動脈と静脈をつなげている動静脈吻合と呼ばれる細い血管が拡張します。拡張した血管に流れる血液を手のひらを通して低水で冷やすことで、頸部、腋窩、そけい部を冷却するというこれまでの方法より効果的に下げることができるというものです。実際には40℃の部屋でトレッドミル歩行を行い、食道温が39.2℃になったら@安静にする。A頸部、腋窩、そけい部を冷却する。B冷却手袋で手のひらを冷却する。3つの方法を比較しました。安静での体温降下は10分間で0.04℃、頸部等の冷却では0.17℃、手のひら冷却手袋だと0.30℃という結果を報告しています。
では、実際にはどうすればよいのでしょうか。NHKの番組で紹介された方法では、自動販売機のペットボトル(5℃)がすこしあたたまったくらい(15℃)のものを持って歩くと15分くらい冷却効果が続くと紹介しています。また、ペットボトルを持って歩くと、上半身の運動をしながら歩く効果もあります。この夏は冷えたペットボトルを持って歩く人が増えそうですね。
2019・7 『週に60分までのレジスタンス運動が心筋梗塞や脳卒中に有効』
2019年10月29日「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版よりこれまでにレジスタンス運動の脂質異常症やメタボリック症候群に対する有効性を報告し
ている米国アイオワ州立大学のLEE准教授らは、1週に60分の筋力トレーニングなどのレジスタンス運動が心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが有意に低下する可能性がことを報告しました。
1987〜2006年に2回以上診察を受けた男女1万2,591人(平均年齢47歳)を対象に、平均で5.4年および10.5年間の追跡調査を実施した結果、週に1〜3回または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、CVDイベントの発生リスクが40〜70%低いことが判明しました。レジスタンス運動によるこれらの効果はウォーキングやランニングなどの有酸素運動の効果とは独立していました。さらに、レジスタンス運動をより頻回(週に4回以上)あるいは週に60分以上行っても心臓血管疾患のリスクはこれ以上低下しませんでした。
2019・6 『高齢者はタンパク質を取りましょう』
高齢者の日常生活能力の低下にはサルコペニアあるいはフレイルが関係していると言われています。サルコペニアは筋肉量の低下から筋力低下を起こす低栄養状態。身体的フレイルでは栄養低下から身体活動量がさがり、日常生活能力が低下します。高齢者で、意図していないにもかかわらず3−6ヶ月のあいだに2-3sの体重減少した時は低栄養によるサルコペニアやフレイルを疑います。
身体的フレイル(Frailty):日本版診断基準
1) 体重減少:この2年間で5%以上体重が減りましたか
2) 疲労感:自分は活力に満ち溢れていると感じますか。Noの人
3) 身体活動の低下:軽い運動・体操&定期的な運動・スポーツをしていますか。Noの人
4) 握力低下:男性;26s未満、女性;17s未満
5) 歩行速度の低下:1.0m/s未満
上記5項目中3項目以上該当した場合をフレイル。1-2項目該当した場合をプレ・フレイルと診断します。
フレイルやサルコペニアの状態は回復可能な状態であると考えられていますが、高齢者では同じ量の筋肉を再生するのに若年者のほぼ倍のタンパクを摂取する必要があります。
このために、高齢者では1.2g/kg/day(0.4g/kgx3回)のタンパク摂取が必要と考えられています。さらに、トレーニングの後に必須アミノ酸であるロイシンを摂取することも有用と考えられています。
2019・3 『心身の健康のためにお風呂に入りましょう(その2)』
〇遠赤外線温浴による和音療法は心不全の有効な治療法です。
鄭 忠和元鹿児島大学循環器呼吸器代謝内科教授の始めた和温療法は、慢性心不全の治療法として厚生省のガイドラインに掲載され、欧米でも認められています。一般的にはプールやお風呂に肩の上までつかることは、心不全の患者さんでは禁止されています。抹消から心臓に戻る血液量が急に増えて心臓に負担をかけるからです。
「和温療法」は「室内を均等の60℃に設定した遠赤外線乾式サウナ治療室で全身を15分間温めて、サウナ出浴後さらに30分間の安静保温を追加して、最後に発汗に見合う水分を補給する治療法」です。60℃・15分間の乾式サウナ浴で深部体温は0.8 ℃ 〜1.2 ℃ (平均1.0 ℃)上昇します。この約1.0 ℃の深部体温の上昇は安全で副作用はなく治療効果を発揮します。「和温療法」は全身の血管機能を改善し、動脈・静脈を拡張させて全身の血管抵抗を低下させ、心臓に対する前負荷・後負荷を軽減し、その結果、心拍出量は増加して全身の血液循環を促進します。
(http://www.waon-therapy.com/message.html)
2019・3 『武蔵野十里』
2019年3月10日は武蔵野十里でした。川越中央小学校から東松山スポーツセンターまでの22qを歩きました。
20qスタートの川越中央小学校に行くと梅の花が咲いていました。まずは、川越の喜多院、仙波東照宮、川越の小江戸通りの街並みを歩きました。お店には美味しそうな江戸菓子がたくさんありましたが、歩き出したばかりでしたのでがまんがまんでした。珍しい青色の蔵のお醤油さんもありました。
後半12qほどはさいたま市から来た88歳の男性と一緒に歩きました。昨年は40qを歩かれたそうです。すごいですね。
歩き終わってから、東松山駅前の餃子を美味しい食べてビールを飲んで帰りました。
2019・2 『南房総フラワーマーチ』
2019年2月16-17日は南房総フラワーマーチでした。前日までは雪でしたが、何とか天気は改善し、皆さんが帰り着くころには温かくなりました。昨年から開催時期が早まりましたが、今年は河津桜をはじめ、梅、椿など多くの花が咲いていました。ベテランのwalkerから幼稚園児まで多くの人が参加していました。私も2日間歩きました。1日目はまず山を越していく上り坂から始まるので、海岸に出るころには疲れが出てきました。2日目は平たんなコースでしたので、皆さん余裕を持って歩けたと思います。チェックポイントで食べた柚子味のソフトクリームが大変美味でした。
2019・2 『1日に30分ほど椅子から立ち上がって運動するだけで、余命が延長する』
米コロンビア大学のKeith Diaz氏は「デスクワークや座りがちな生活習慣の人は、できる限り立ち上がって動くことで、早期死亡リスクを減らすことができる。運動はランニングなどの高強度のものでも、ウォーキングなどの軽めのものでもよい」と発表しました。
この研究は、脳卒中のリスク因子などの検討を目的とした大規模な観察研究であるREGARDS(REasons for Geographic and Racial Differences in Stroke)研究に参加した45歳以上の男女7,999人を対象としたものです。2009〜2013年に、参加者には活動量計を4日間以上装着してもらい、座位時間を測定した後、2017年まで追跡しました。その結果、座り続ける代わりに、1日30分でも軽い運動を行っていた人は、そうでない人に比べて早期死亡リスクが17%低いことが分かりました。また、運動の強度を高めると、より大きな効果が得られることも明らかになりました。座っているよりも中強度の運動を1日30分行うと、早期死亡リスクは35%低減することが示されました。
通勤で車を使わずに駅まで歩いたり、昼休みにお弁当を買いに出かけたりしている日本人はアメリカ人よりも平均寿命が長いのかもしれません。
2019年1月14日「American Journal of Epidemiology」
2019・2 『脳の働きをまもるウォーキングのすすめ』
「脳の働きをまもるウォーキングのすすめ」を、このたび宮下充正日本市民スポーツ連盟名誉会長が上梓いたしました。
本書は“脳の働き”に焦点をしぼって、中高年齢者を中心にウォーキング/ ノルディック・ウォークの実践の必要性をわかりやすく解説しています。近年、医療の進歩やウォーキング/ノルディック・ウォークの実践にともない私たちの寿命は延び続けてきました。その結果として、身体機能を老化から守ることだけでなく、記憶や判断をつかさどる脳の機能を維持することの重要性が認識されるようになりました。それではどのようにして脳機能を維持すればよいか。 本書はこのような要請にこたえた1冊といえます。本書により一人でも多くの方が脳をまもるウォーキングを実践していただくことを祈念しております。
本書をご希望の方は、杏林書院(http://www.kyorin-shoin.co.jp/)までお問い合わせください。
2019・1 『心身の健康のためにお風呂に入りましょう』
ウォーキングの後お風呂に入ると気持ちもすっきりして疲れも取れますね。お風呂の効用はそれだけではありません。
〇お風呂は認知機能低下・抑うつの予防につながり介護予防になります。
2018年12月、近藤克則千葉大教授らの研究グループは、1週間に7回以上湯船につかって入浴する高齢者は、週2回以下の人に比べて要介護認定のリスクが約3割減少するとの調査結果を発表しました。入浴によるリラックス効果が認知機能低下や抑うつの予防につながっている可能性があります。調査は2010年8月〜12年1月、北海道や愛知県などの18自治体で要介護認定を受けていない65歳以上の男女計約1万4千人を対象に実施されました。調査期間中に新たに要介護認定を受けた人は約1200人。夏に週7回以上入浴していた人は週0〜2回の人より要介護認定のリスクが約28%減り、冬の入浴でも約29%減ったそうです。湯船につからず、シャワーを浴びるだけの場合は含まれていません。
〇週に5回以上入浴する人のほうが心臓や血管の機能は良好です。
愛媛大学小原克彦教授と京都大学が、入浴習慣が心機能や動脈硬化指標と関連することを明らかにし、その成果が Scientific Reports 誌で発表しました。心筋梗塞、心不全などの循環器疾患の症状を経験したことがなく、入浴習慣に関する質問に回答していた人166人を平均4.9年追跡調査した結果です。週5回以上の入浴習慣を有する人では、動脈硬化の指標である脈波伝搬速度や心負荷の指標である血中のB型心房性ナトリウム利尿ペプチドが低値を示しました。入浴は、湯温による温熱効果とともに水圧による圧迫効果があります。水圧により末梢血管内の血液が中心に集まり、これが心機能の改善につながることが知られています。
参考文献: Kohara K, et al. Scientific Reports. 2018;8:8687. DOI:10.1038/s41598-018-26908-1
2018・12 『銀杏の精子による受粉』
都会の秋における黄葉はなんといっても銀杏に尽きると思いますがみなさんいかがでしょうか。今年は秋も暖かかったので、新宿御苑では12月に入っても銀杏の黄葉が楽しめました(写真)。私の家の前の小さな公園にはクリスマスを迎える今も、黄色い葉をたくさんつけた銀杏の木が2本たたずんでいます。
銀杏の樹にオスメスがあるのは皆さんご存知だと思います。しかし、銀杏の受粉は通常の植物と異なり、精子(精虫)が卵子のところまで繊毛を動かして泳いでいくことによることはご存じではないのでしょうか。
銀杏は春、新芽の出た時分、雄花が咲いて花粉を飛ばします。花粉は雌花(ギンナンになる)の内部に取り込まれると花粉嚢となり精虫が育ちます。銀杏は約4ヶ月の間にギンナンの中に精虫が卵まで泳ぐ「海」を用意し、機が熟すると精虫は体に備えている繊毛を動かして、「海」を泳ぎ卵子の雌精器に接触して受精しギンナンの実が形成されます。種子植物でこのような生殖系をもつのはイチョウとソテツ類だけだそうです。銀杏の精虫は明治29年日本人科学者平瀬作五郎氏により発見されました。
参考文献:牧野富太郎「植物一日一題」
2018・11 『第4回アジア市民スポーツ連盟アジア大会』
2018年11月、インドネシア国ジョグジャカルタで第4回アジア市民スポーツ連盟アジア大会(Asianpiad)が開催されました。
2018年11月16日
第4回アジア市民スポーツ連盟アジア大会の前日です。今日はアジア5カ国の会議から始まりました。本年5月の国際市民スポーツ連盟総会において2021年の国際市民スポーツ連盟オリンピアードが韓国ソウル市で開催されることが決定したことの報告がなされました。次いで定款の改正がなされ、アジア市民スポーツ連盟の副会長が1人増えて4人となりました。アジアの会長には日本の宮下充正氏が再選され、韓国、台湾、インドネシア、ロシアの代表も副会長に選任されました。さらに2年後2020年のアジア大会はウラジオストックで開催されることも決まりました。
そのあとは、jogjakartaの州庁舎までのFlag Parade、welcome partyとにぎやかな1日でした。
2018年11月17日
第4回アジア市民スポーツ連盟@インドネシア、ジョグジャカルタ州は快晴の天気に恵まれ25カ国から350人以上のウォーカーが参加しました。開会式には州知事でもあるスルタンも出席されました。
第一日目のコースは、世界遺産でもあるヒンズー教の寺院、プランバナン寺院世界遺跡公園を出て、明るい農村地帯を歩きます。地元の人も道案内のスカウトたちもみな笑顔で迎えてくれます。おかげで暑さも吹き飛ぶはずはなく、ぐっしょりと汗をかいてゴールしました。
2018年11月18日
アジア市民スポーツ連盟第4回アジア大会 2日目はメラピ山のふもとを歩くコースです。朝方は曇っていましたがすぐに晴れ渡りました。道端の家の老若男女と「メラマパギ(おはようございます)」のあいさつをすると、笑顔とともに「マパギ」の返事。そしてチェックポイントやレストエリアでは「テリマカシ(ありがとう)」「サマサマ(どういたしまして)」のあいさつを繰り返しながらの10qでした。
お昼前には「水泳コース」のプールで泳ぎました。
夜は表彰式でした。完歩者にはジョグジャカルタ州のスルタンから特製のメダルが授与されました。最後にジョグジャカルタウオーキング協会からロシア、ウラジオストックのジンセンウオーキング協会にアジア大会の旗が渡されてフェアウェルパーティが終了しました。
2018・10・18 『「ウォーキング」は健康増進や運動のために歩くこと』
「ウォーキング」 を広辞苑第6版で引くと、
@歩くこと。歩行。特に、健康増進や運動のために歩くこと。
Aウォーキング‐レースの略。競歩。
「歩く」という意味のほかに、「健康のために歩く」という解説が出てきます。第5版にはなかった新しい説明です。「ウォーキング」という言葉の持つ意味自体が変わってきたのだと思います。
一橋大学の岡本純也氏が興味ある調査をしています。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞の新聞記事の頻出するようになったのは1980年代半ばのことで、80年代後半になり米国から「エクササイズ・ウォーキング」が紹介されると、新聞紙上への出現頻度の増加が認められたたそうです。「エクササイズ・ウォーキング健康増進のための効果的な運動方法として紹介されています。「エクササイズ・ウォーキング」は先の広辞苑の解説の中に「健康のために歩くこと」が加わったことと無関係ではないと思います。
1997年前後には、ウォーキングを取り巻く状況がどのように変化したのでしょうか。1997年1月に、江橋慎四郎日本市民スポーツ連盟初代会長のもとで、「イヤーラウンド通年ウォーキング制度」が制定され、日常のウォーキングの奨励が始まりました。現在まで続く日本市民スポーツ連盟イヤーラウンドコースの始まりです。同じく1月に日本ウオーキング協会が地域密着型マーチングリーグ(ブロック別マーチングリーグ)構想をスタートし、4月には「日本ウォーキング学会」設立されました。そして10月には第1回「世界ウォーキングフェスティバル」も開催されました。その結果として、1997年以降では、「ウォーキング」という言葉の出現頻度が爆発的に増加しました。
国内のウォーキング大会でも1997年前後に創立され、20回の記念大会を迎えた大会が少なくありません。昨年20回を迎えた大会には「早春淡墨桜浪漫ウォーク」「久留米つつじマーチ」「いわて花巻イーハトーブの里ツーデーマーチ」がありました。今年は「下田水仙ツーデーマーチ」「宮崎ツーデーマーチこばやし霧島連山絶景ウォーク」「津軽路ロマン国際ツーデーマーチ」「ふくしま吾妻・荒川・花見山ツーデーマーチ」「瑠璃色ロマン神秘田沢湖ツーデーマーチ」「港よこはまツーデーマーチ」「和泉弥生ロマン・ツーデーウォーク」「城下町おだわらツーデーマーチ」が20回大会を開催し、来年には「日光ツーデーマーチ」「「美山かやぶきの里ワンデーマーチ」が20回の節目を迎えます。
2018・8・29 『歩行の終点が寿命の終点』
北里大学で行われた研究によると、心臓病を罹患している人1300人のデータでは、心臓病の重症度にかかわらず、アシの健康が確かな人が長生きをしていたそうです。また、新潟県佐渡における研究でも、平均年齢81.9歳という高齢でかつフレイルと呼ばれる身体的予備能の少ない患者さん89症例の1年後の生命予後を決めたのは、入院中の10m努力歩行速度だったそうです。嚥下機能の評価においても同様のことが報告されています。10m努力行速度の低下している患者さんは口腔機能が低下しており、嚥下機能低下のハイリスク患者さんだったそうです。まさに歩行の終点は健康寿命です。
2018・8・29 『寺田寅彦にとっての杖とは』
私は、ノルディック・ウォークという日本の杖を持って歩くウォーキングを、リハビリテーション病院の患者さんにも勧めています。90歳を過ぎた私の母親もこれで歩いているし、自分でも1時間以上のウォーキングをするときには用いています。さて、過去の先人は杖による歩行をどのように考え、述べているのでしょう。
日本の自然物理学の先駆者である寺田寅彦は、夏目漱石の小説「三四郎」に登場しています。東京大学理科大学(東京大学理学部の前身)の地下室で黙々と太陽の光の力の研究をしている野々宮君という実験研究者がその人です。寺田寅彦は漱石の家にも出入りしていた弟子なので、作中人物として起用されたのでしょう。
寺田寅彦の「杖」に関する随筆の最後にはこのように書かれています。年を取るとやはり杖が役に立つ。毎日あがる階段で杖の役に立つ程度によってその日のからだのぐあいのよしあしがわかる。健康のバロメーターになる。字引きで見ると杖の字は昔は尺度の意味であったという話があるから、昔もやはりメーターの一種であったのである。
2018・7・30 『シベリア鉄道の夜』
2018年7月ウラジオストックでのウォーキング大会に参加しました。7日は東ヨーロッパの町並みを思わせるウラジオストックの市街地、8日は絶壁あり、林あり、海の中の岩場ありのルースキー島でした。(ウォーキングについてはWalking Lifeまたは川内基裕のFacebookをご参照ください)
8日の夜、私たち20人は、21時ウラジオストック発のシベリア鉄道の夜行列車オケアン号でハバロフスクに向かいました。4人乗りのコンパートメントではそれぞれウォーキングの旅に祝杯をあげたのちに2段ベッドを出して眠りました。ハバロフスクまでは767kmを東京―岡山間より少し長い夜旅です。どこまででもつづく広いシベリアの大地のほんの一部でした。朝の6時過ぎに車両係のおばさんが朝ご飯を配りにきました。スポンジ生地で作ったような温かいロシア風餃子?と硬いパンでした。朝ご飯を食べて顔を洗うと8時30分にハバロフスクにつきました。一晩だけの忘れられない旅行でした。
2018・3・28 『リハビリテーションとウォーキング』
整形外科疾患でも脳卒中でも、リハビリテーションの基本は体を動かすこと、とくに歩行です。室内歩行、院内歩行から始めて屋外歩行や公共交通機関訓練などを行います。先日は病院から道を渡るとすぐ目の前にある多磨霊園に患者さんといってきました。北原白秋のお墓にお参りして、満開の桜の中を歩いてきました。サッカーの国際試合で「ニッポン チャ チャ チャ」をはじめて考案して応援したというご夫婦のお墓もありました。
2017・12・16 『神宮外苑の銀杏』
12月2日は神宮外苑は銀杏祭りの最中でした。野球場にはたくさんの出店があり、道は人で埋まっていました。2週間後の16日には一番手前の1本を除いて、葉っぱはみな落ち、人もまばらでした。四季の移り変わりは諸行無常です。
2017・11・26 『ノルディックウォークフェスタ東京ノルディック2017』
2017年11月26日の日曜日、お台場シンボルプロムナード公園で、第4回ノルディックウォークフェスタ東京が開催されました。4月のノルディックウォークフェスタ大阪、6月の国際ノルディックウォーキングin鶴岡と同様、ノルディックウォーキングが主体となるwalking大会です。私が会長を務める東京都ノルディック・ウォーク連盟が、千葉県ウオーキング協会の応援を頂いて開催しています。第4回の今回は400名のノルディックウォーカーが集まりました。NWは高齢者やリハビリテーションの必要な人に対する歩行アシスト効果が知られています。6万8千名にも達する100歳代(センテナリアン)の国民が生活するわが国では必須のウォーキング手段といえます。今回、とても若いノルディックウォーカーもたくさん参加していただきました。私は5kmコースのアンカーとして6歳の女の子がお母さんたちとともに完歩するのに同行させていただきました。ゴールでは指導員が集まってノルディックポールで長いトンネルを作ってお迎えしました。「よくがんばったね。」みんなの心の声が伝わってくるゴールインでした。
2017・11・6 『日本スリーデーマーチとユニバーサルウォーキング』
2017年11月3日、4日、5日の3日間にわたって開催された第40回日本スリーデーマーチが延べ10万人の参加者を迎えて盛会に終わりました。幼稚園の園児から高齢者まで、全国から集った老若男女がそれぞれの目標に向かって自然の中を歩いている姿に感動を禁じ得なかったのは私だけではないと思います。3日目の10kmコースでは83歳の女性が曲がった腰をノルディックポールでまっすぐに支えながら歩いていました。彼女はあと2年85歳までは歩きたいと言っていました。その姿に私は35回大会での思い出がよみがえりました。2日目の10kmコースには、私のすぐ前を70歳前後の男性2人が歩いていました。脳動脈疾患により半身が不自由のようでしたが、健常な腕で杖をついてしっかりと前方を見つめ、周囲の人たちと同じ速度で歩いていました。2人は知り合いではなかったようですが、2人とも自分一人でないことが心強かったに違いありません。高齢者問題に直面していかなければならない日本にとって、高齢者も集うことのできる東松山の大会はこれからの日本の市民スポーツのお手本であると思います。
2017・10・21 『バラ園遊歩道歩き初め』
山梨県笛吹市にある富士温泉病院に、患者さんがNordic Walkingで歩ける遊歩道のあるバラ園(Rose garden)が開設されました。台風が日本に接近しつつある雨の中
でしたが、100名以上のNordic Walkerが歩き初めをしました。富士温泉病院には、股関節症の冠者さんをNordic Walkingで保存的に治療している矢野英雄名誉院長、元東京大学教授が診療されています。富士温泉病院のバラ園に日本中、世界中から股関節に障害のある人もない人も集まってNordic Walkingを楽しまれることを祈っています。
2017・10・9 『ハイデルベルグにある「哲学者の道」』
ネッカー川にかかるテオドール・ボイス橋を渡り、そびえたつ山肌を曲がりくねって上がる哲学者の道を上りました。急な坂はただ歩くだけで息が切れました。哲学者の道とは言いますが、歩きながら思索する余裕はありません。考えて考えて煮詰まった頭をすっきりとさせるときにはよい運動になると思いました。京都にある琵琶湖疎水に沿った平らな穏やかな道とは大違いでした。
2017・8・5 『神宮外苑』
ウラジオストックから帰って久しぶりの神宮外苑NW。今日は蒸し暑い日で、常連さんも何人もお休みでした。体を大切にしてこそのwalkingですものね。それでもこの写真に入っていない初心者の方と、暑さをものともしない強者が残りました。
2017・8・1 『ウラジオストック』
波音で目覚めた今日は、クラベ半島の山歩き15kmでした。山の稜線をあるくと、海の向こうには中国、北朝鮮がみえます。上り下りの急な坂道を歩きながら、草原がそのまま保たれている景色に感心しました。4時間以上もかかって帰った後は完歩メダルの贈呈式をしました。夜は保養所の女managerのバイオリン演奏を楽しんだ後、夜遅くまでロシア民謡の詩が続いていました。
2017・7・31 『ウラジオストック』
今日は移動日です。朝ウラジオストックを出発しました。バスで6時間かかってロシア、中国・北朝鮮の国境地域についた後に、トラックに乗り換えて小1時間道なき野山を揺られて、クラベ半島の先端にある保養所につきました。海辺でしたので早速着替えてオホーツク海で泳ぎました。海の水は季節のせいか、温かく気持ちよかったです。水泳の後は韓国・日本連合チーム対ロシアチームでミニサッカーをしました。ロシア人のお客さんが海でウニを山ほどとってきてくれて、生のバフンウニを堪能しました。保養所の夜は発電機もとまり、波の音が聞こえるだけでした。
2017・7・30 『ウラジオストック』
ウラジオストックの軍港祭の日です。前夜から、沖に整列した軍艦がライトアップして、クレーの「海賊船」という絵さながらでした。列の中には病院船もいました。
地元のGinseng walking協会の人たちとウラジオストックの町を歩きました。”Ginseng walking協会”は国際市民スポーツ連盟の会員で、昨年からはアジア市民スポーツ連盟の会員ともなりました。ウラジオストックは港町なので、坂が多く。1930年代からの古い建築物や街並みが残っていて、「アジアに最も近いヨーロッパ」という参加者の評がぴったりでした。
金角湾や東ボスポラス海峡など東ローマ帝国を思わせる景色を眺めてもどりました。ウラジオトックの駅にはシベリア鉄道をモスクワに向けて出発前の電車や昔の蒸気機関車が並んでいました。
2017・7・8 『レインボーブリッジ』
RainbowBridgeノルディックウォーキングです。満月に観覧車、屋形船の取り合わせがきれいでした。
2017・6・25 『鶴岡ビーチノルディックウォーク大会』
鶴岡ビーチノルディックウォーク大会。日本海に沿ってどこまでも続く砂浜を皆で歩きました。
2017・6・17 『神宮外苑』
今日のNWは千駄ヶ谷駅前から神宮外苑をぬけてを歩きました。良い天気の上に涼しい風が吹いており、代々木公園はたくさんの人であふれていました。生のバンドにあわせて踊っている若い人のグループもいました。
・2024.11.13更新
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2025 IVV-JAPAN表彰及び参加回数・距離記録表彰新設のお知らせ
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