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思い出の南極



『(9)航空機で空気試料を集める』
 日本からの航海中と南極越冬中に空気試料の採集を行った。空気に微量に含まれるフロンや二酸化炭素、メタンなどの動向を調べるためだ。
 赤道を越えて南半球に入ると、フロンガスの濃度は階段状に減少した。当時、フロンガスはまだ生産規制されておらず、北半球を中心に盛んに放出されていたためで、その地球大気全体に拡がる様子が明らかだった。
 24次の南極観測では車輪に補助ソリを着けた小型航空機(ピラタス・ポーターとセスナの二機)が使われ、パイロット二名と整備士が活躍していた。滑走路は東オングル島の前に広がる海氷上で、凸凹をならして使われた。私も航空機に搭乗し、上空約7500mまで空気採集を行った。持ち帰った試料は、気象研や東北大、東大で精密分析がなされた。その結果、南の果ての地球上でもっとも清浄な空気中でも、北半球起源のガスの濃度が徐々に増加していることが分かった。(注)
 しかし、秋(5月)のある朝、基地の前に広がる海氷が沖に流され、黒々とした海面が現れた。海が再び凍りしっかりした滑走路ができるまでは、航空機もしばし巣ごもりとなった。



スイス山岳で使われるピラタス機にサンプリング機材を載せて空気試料を採集する。
高高度では酸素マスクを装着する。



秋のある朝、基地前面の海がぽっかり開いた。セスナ機(左)とピラタス機(右)は陸に繋留された。



(注)現在、フロン11,12は現在ピークを過ぎて減少に転じた。一方、二酸化炭素等は増加中で、温室効果ガス全体の温室効果は増加中である。
(参照)https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/info/wdcgg/GHG_Bulletin-15_j.pdf

次回『(10)極夜の生活に続く』につづく

No.1『南極観測隊員になったワケ』
No.2『晴海埠頭を出発』
No.3『航海・オーストラリア西海岸へ』
No.4『氷海の中へ』
No.5『夏作業中の思い出』
No.6『観測隊の構成』
No.7『越冬交代』
No.8『観測のスタートと生活、“ションドラ”のこと』





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